

【プライムプラネットエナジー&ソリューションズ様_小学校への出前授業】
“答えのない課題”に
子どもたちと一緒に取り組む出前授業

レモンに電極をとりつけると、オルゴールが鳴る”レモン電池”
トヨタカローラ徳島のSDGsの取組みを掘り下げる企画の第3弾では、地元徳島にも拠点のある車載電池メーカー「プライムプラネットエナジー&ソリューションズ㈱様(以降、PPES)」の地域貢献の取組み:小学校への出前授業について取り上げます。単におもしろかったーで終わるではなく、電池事業を背景に「答えのない課題」にチャレンジにすることの難しさや楽しさを自分の頭で考えてもらう、一味も二味も違う授業にしているといいます。そこに込められた想いや、今後両社で進める取組みについてお話を聞きました。

(左から)PPES越智様、進藤様、山田様、当社 竹内取締役
―――本日は、お集まりいただきましてありがとうございます。まずはPPES様の会社について教えていただけますでしょうか。
経営戦略本部 事業企画室 進藤様)
はい、改めてプライムプラネットエナジー&ソリューションズ㈱と申しまして、パナソニックとトヨタの合弁として2020年の4月に操業を開始しました。「かけがえのない地球 クリーンで豊かな社会を未来へ」という経営ビジョンを掲げ、ハイブリッド自動車や電気自動車等の電動車両に搭載する電池の、開発・製造販売を行っている会社です。本社が東京と兵庫県加西市にあり、製造拠点は主に西日本と中国大連で展開をしています。2022年の春に、徳島県でも操業を開始しました。
―――ありがとうございます。それでは、お集まりいただいた方それぞれ自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか。
経営戦略本部 事業企画室 進藤様)
広報の仕事を担当しています。実は私、転職でこの会社に入って日が浅く、まだまだ駆け出しの広報です。知らないことを恥ずかしがらずに周りの社員に聴き、自分なりにこの会社の良さってなんだろうと、日々勉強しています。弊社はいわゆるBtoB企業で、一般消費者の皆様が車の中を開けて直接商品を目にする機会もほとんどないと思います。そういったなかどのようにPRしていくか、会社の皆さんに、当社のものづくりのこだわりとか、未来への想いだとか、その想いを込めた長い会社名(笑)をどうやって知って頂くかを考えているところです。
高出力プロダクト65Dプロジェクト 山田グループマネージャー様)
現在は企画戦略室という部署で、私たちのつくる車載電池を、いかに多くのお客様に使って頂くか・事業競争力を磨くかという仕事をしております。私は、トヨタ自動車に中途入社しPPESに出向していますが、キャリアを通じてずっと電池の研究開発に携わってきました。父が完成車メーカーに勤めていたこともあり、F1で世界を廻るというのが子供の頃の夢でした。いま電気自動車とか自動運転といった新しい車の可能性が広がっていますが、その一方でなんとなく車が楽しいものでなくなっている風潮があるようにも感じています。車は唯一「愛」という文字が頭につけられる工業製品だと言われますけれど、改めて、車を子供たちにとっての夢の対象にしたいと思っています。電動車に積まれている電池が変われば、車の楽しさも変わると信じて、ずっと電池に関わっています。
65Dプロジェクト 越智プロジェクトリーダー様)
65Dというプロジェクトのリーダーを務めています。プロジェクトが手掛ける電池を弊社工場でいかに安全に効率的に製造し出荷する。私の役割なのです。実は最近50歳になりまして、自分の仕事への想いが変わってきた感じがしています。自分のキャリアアップだけではなくて、周りのメンバーだったり、家族や地域に恩返しをしたいという思いが少しずつ出てきました。それもあって、今回カローラ徳島さんとコラボレーションすることにもつながりました。
トヨタカローラ徳島ホールディングス 竹内取締役)
会社では経営企画部におりまして、販売施策や人事採用などの領域におります。今回、PPESさんとコラボレーションさせていただくカローラまつりも担当させて頂いております。今日はよろしくお願いします。
経営戦略本部 事業企画室 進藤様)
はい、改めてプライムプラネットエナジー&ソリューションズ㈱と申しまして、パナソニックとトヨタの合弁として2020年の4月に操業を開始しました。「かけがえのない地球 クリーンで豊かな社会を未来へ」という経営ビジョンを掲げ、ハイブリッド自動車や電気自動車等の電動車両に搭載する電池の、開発・製造販売を行っている会社です。本社が東京と兵庫県加西市にあり、製造拠点は主に西日本と中国大連で展開をしています。2022年の春に、徳島県でも操業を開始しました。
―――ありがとうございます。それでは、お集まりいただいた方それぞれ自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか。
経営戦略本部 事業企画室 進藤様)
広報の仕事を担当しています。実は私、転職でこの会社に入って日が浅く、まだまだ駆け出しの広報です。知らないことを恥ずかしがらずに周りの社員に聴き、自分なりにこの会社の良さってなんだろうと、日々勉強しています。弊社はいわゆるBtoB企業で、一般消費者の皆様が車の中を開けて直接商品を目にする機会もほとんどないと思います。そういったなかどのようにPRしていくか、会社の皆さんに、当社のものづくりのこだわりとか、未来への想いだとか、その想いを込めた長い会社名(笑)をどうやって知って頂くかを考えているところです。
高出力プロダクト65Dプロジェクト 山田グループマネージャー様)
現在は企画戦略室という部署で、私たちのつくる車載電池を、いかに多くのお客様に使って頂くか・事業競争力を磨くかという仕事をしております。私は、トヨタ自動車に中途入社しPPESに出向していますが、キャリアを通じてずっと電池の研究開発に携わってきました。父が完成車メーカーに勤めていたこともあり、F1で世界を廻るというのが子供の頃の夢でした。いま電気自動車とか自動運転といった新しい車の可能性が広がっていますが、その一方でなんとなく車が楽しいものでなくなっている風潮があるようにも感じています。車は唯一「愛」という文字が頭につけられる工業製品だと言われますけれど、改めて、車を子供たちにとっての夢の対象にしたいと思っています。電動車に積まれている電池が変われば、車の楽しさも変わると信じて、ずっと電池に関わっています。
65Dプロジェクト 越智プロジェクトリーダー様)
65Dというプロジェクトのリーダーを務めています。プロジェクトが手掛ける電池を弊社工場でいかに安全に効率的に製造し出荷する。私の役割なのです。実は最近50歳になりまして、自分の仕事への想いが変わってきた感じがしています。自分のキャリアアップだけではなくて、周りのメンバーだったり、家族や地域に恩返しをしたいという思いが少しずつ出てきました。それもあって、今回カローラ徳島さんとコラボレーションすることにもつながりました。
トヨタカローラ徳島ホールディングス 竹内取締役)
会社では経営企画部におりまして、販売施策や人事採用などの領域におります。今回、PPESさんとコラボレーションさせていただくカローラまつりも担当させて頂いております。今日はよろしくお願いします。
塵ひとつ落ちていない車載電池工場

PPESの車載電池製造ライン(同社提供)
―――今回のコラボレーションは、カローラ徳島がPPES様の徳島工場にお伺いしたところから始まったと聞きました。
越智)
私たちプロジェクトが手掛けた車載電池は、昨年の春から松茂町にある徳島工場で製造を開始しました。この電池はハイブリッド車に搭載されておりまして、かねてから交流のあったトヨタカローラ徳島さんに初荷式(製品を初めて工場から出荷する際に行われる式典)にお越し頂きました。竹内さんにはその際に、工場の中もご視察頂きました。我々の工場、いかがでしたか。
竹内)
伺ってまずびっくりしたのが、塵ひとつ落ちていないとても綺麗な工場だったことです。電池の製造ラインに入る前に、白い防護服着せていただき、そのあとエアーシャワーに入るようになっており、ほんのわずかな塵も製造ラインの中に入れない工夫がされていました。電池が通るラインも通路からは専用の壁で隔ててあったり、あらゆる場所にエアーを飛ばす装置があったり、大きい工場なのですが緻密さや繊細さを感じました。お恥ずかしながら、徳島にこんな工場があるなんて全く知りませんでした。
越智)
ありがとうございます。竹内さんが感じていただいた通り、電池は、塵などの異物が入ることをすごく嫌うんですね。万が一、塵の中に金属が入っていた場合、内部でショートを起こしてしまい、電池が機能しなくなってしまいます。もちろん、車載電池でも乾電池でも、中に異物が入ってしまえばショートすることには変わりありませんが、車は走行中にエラーが出ると、車が動かなくなってしまいます。もし、寒い地域でクルマが動かなくなると命にかかわりますから、お客様の命をお預かりしていると思っています。だからここは絶対に妥協せず、徹底的にこだわって製造しています。
竹内)
そうですよね。製造工程の中で、ひとつも異物混入を許してはいけない。そういうプロ意識を感じました。自動車ユーザーの命を運ぶ自動車を作っている/販売したり整備したりしているという点では、我々ディーラーの事業とも一緒と感じましたし、PPESさんのプロの仕事/プロの意識をもっと見習わねばならないなぁと。早速帰社後に勉強した内容を社員に共有しました。この工場見学をきっかけに、PPESさんと交流を続けていたのですが、その中で、PPESさんが興味深い地域貢献の取組みをされている事を伺い、是非コラボレーションさせて頂きたいです、と申し出させていただきました。
越智)
私たちプロジェクトが手掛けた車載電池は、昨年の春から松茂町にある徳島工場で製造を開始しました。この電池はハイブリッド車に搭載されておりまして、かねてから交流のあったトヨタカローラ徳島さんに初荷式(製品を初めて工場から出荷する際に行われる式典)にお越し頂きました。竹内さんにはその際に、工場の中もご視察頂きました。我々の工場、いかがでしたか。
竹内)
伺ってまずびっくりしたのが、塵ひとつ落ちていないとても綺麗な工場だったことです。電池の製造ラインに入る前に、白い防護服着せていただき、そのあとエアーシャワーに入るようになっており、ほんのわずかな塵も製造ラインの中に入れない工夫がされていました。電池が通るラインも通路からは専用の壁で隔ててあったり、あらゆる場所にエアーを飛ばす装置があったり、大きい工場なのですが緻密さや繊細さを感じました。お恥ずかしながら、徳島にこんな工場があるなんて全く知りませんでした。
越智)
ありがとうございます。竹内さんが感じていただいた通り、電池は、塵などの異物が入ることをすごく嫌うんですね。万が一、塵の中に金属が入っていた場合、内部でショートを起こしてしまい、電池が機能しなくなってしまいます。もちろん、車載電池でも乾電池でも、中に異物が入ってしまえばショートすることには変わりありませんが、車は走行中にエラーが出ると、車が動かなくなってしまいます。もし、寒い地域でクルマが動かなくなると命にかかわりますから、お客様の命をお預かりしていると思っています。だからここは絶対に妥協せず、徹底的にこだわって製造しています。
竹内)
そうですよね。製造工程の中で、ひとつも異物混入を許してはいけない。そういうプロ意識を感じました。自動車ユーザーの命を運ぶ自動車を作っている/販売したり整備したりしているという点では、我々ディーラーの事業とも一緒と感じましたし、PPESさんのプロの仕事/プロの意識をもっと見習わねばならないなぁと。早速帰社後に勉強した内容を社員に共有しました。この工場見学をきっかけに、PPESさんと交流を続けていたのですが、その中で、PPESさんが興味深い地域貢献の取組みをされている事を伺い、是非コラボレーションさせて頂きたいです、と申し出させていただきました。
安くて高品質なものを作る難しさは、
カレーも電池も一緒
カレーも電池も一緒

―――PPES様がこれまでに行っていた地域貢献の取組みについて教えてください。
山田)
2021年に当社の関西本社がある加西市の小学校から、5年生向けの出前授業をやってくれないかとご依頼いただいたのが最初でした。いままで経験がなかったので、何を伝えようかなかなか難しかったのですが、電池事業のプロジェクトXみたいなのはどうだろうかと思って、授業の中身を組み立てていきました。
いまの小学生って、すごく知識の量が豊富なんです。皆さん、地球環境がどうなっているかとか、その中でハイブリッド自動車がエコで、支持されているっていうことは結構知っているんですよ。でも、ある車種の例で、ガソリン車と36万円の金額差があるよというのを伝えた上で、じゃあどっちを買いますかと聞くと「安いから、ガソリン車」と。
竹内)
リアルなお客様の声ですね(苦笑)
山田)
そうなんです。環境に優しい車には乗りたいよね。だけど、車には性能とか便利さとか値段もあって、欲しいと思わないと買わない。そういうお客さんの声に応えるのが自動車会社で、お客さんが欲しいと思ってもらえる性能、便利さ、値段で作らないといけない。じゃあ、自動車会社にそういう車を作ってもらうために、僕ら電池会社としては、自動車会社が欲しいと思う性能とか、値段の電池を提供していく。これが我々のミッションであって、そんな「いい電池」がのっかった車をお客さんに買っていただいて、環境に優しい車が普及して地球を守ることに繋がるよっていうのが、小学生に伝えたメッセージでした。
でも、そんなに簡単にはいかない。電池の開発や製造って、初めに使うお金がとても大きいし、稼いだお金が会社に戻ってくるまでに時間がかかる事業なんですね。でも、ここは日本の産業の砦の一つと思って、海外の電池メーカーに負けないように取り組んでいるのですが、じゃあ、どのようにビジネスとして成立させましょうか、という話に進んでいきます。
竹内)
すごく興味深いです。でも、こういう話って小学生には難しかったりするのではないですか。
進藤)
そうですね、そこは小学校の先生にもアドバイスを頂戴しまして、「人と社会と自分が繋がってるよ」ということを実感してもらったり、出前授業を通して「こういうこと、ちょっと調べてみたいな」というような、好奇心・探求心とかも、一緒に育めるような内容にしようと。じゃあ、自分が経営者になって考えてみましょうという、ストーリー仕立てにしました。
山田)
明日から世界展開するカレー屋さんの経営者になって、安くておいしいものを提供するにはどうしたらいいですか。というワークを行いました。身近な例になると、小学生からいろいろアイディアが出るんですね。スーパーの特売の時に食材を買うとか、レトルトカレーをちょっと薄めて格安で売るっていう子、はたまた自分のおばあちゃんにタダで作ってもらうとかいう子もいらっしゃいました。これって結局、我々の事業にも繋がっていまして、いかに安い材料を使うとか、少ない材料でいい電池を作るかということですね。それと、全く同じなんですよね。そういうことを体験してもらい、自分だったらどうしますかということを自分の頭で考えるし、それは別に答えがあるわけでもない。だから仲間みんなで考えて、電池の事業をやっているんですよ、というお話しです。
中身をあえて難しくしたし、リアルなことを伝えたのですが、5年生になると結構ついてきてくれました。綺麗なことを子供たちに伝えるだけじゃなくて、今、僕らが抱えている課題を共有するというのがすごく良かったなと思いました。
越智)
5年生には難しかったかもしれないけれど、もしかすると近い将来、彼らがこういうことに興味を持ってくれて、さっきの36万円の差を自分だったらどのように埋めるんだ、自分だったらもっと安くて高性能な電池をつくれるぞ、っていう子供が出てきてくれたらうれしいですよね。我々の会社に入ってくれたらもっと嬉しいけれど、そうじゃなくても、結局最後にカーボンニュートラルや、いろいろな課題に立ち向かう子供になってもらったら、どこで活躍しようがそれは嬉しいですよね。
竹内)
僕らも課外授業みたいなことをやっていたんですけど、工場やショールームを見学して貰って「ディーラーって、こんな場所だよ、私たちのこと知ってくださいね」でとどまっていたのかもしれません。御社のように、「答えのない課題」を子供さんたちと一緒に学び、気付きを与える場にする、ということにもチャレンジしていけたらと思います。
すだちを数万個つなげたら、電気自動車を動かせるかも
―――今回のカローラまつりでは、どんなコラボレーションを行うのですか。
山田)
竹内さんとも相談し、「レモン電池」の出前授業を行わせて頂きます。レモンを半分に切ってそれぞれに金属板を差して、電子オルゴールをつなぐと音が鳴るという実験ですね。レモン以外にも徳島らしく、鳴門金時も持ってきました。これでも音がなるかチャレンジしてみます。
竹内)
鳴門金時でも電池になるんですか?
山田)
なります、なります。あ、徳島といえば「すだち」ですね。昨年ギネスで、2,923個のレモンを使って2307.8ボルトを発電したという記録があるので、すだちも同じくらいつないで電気自動車を動かしてみたら面白そうですね。
竹内)
夢がありますね!2023年には、徳島の小学校への両社コラボでの出前授業も計画しています。先ほどPPESさんにとってのプロジェクトXが織り込まれた授業内容をご紹介いただきましたけれど、ディーラーにとっての「答えがない課題」って何だろう…。子供たちにも、私たちにとっても有意義な時間になるように練りこんでいきたいと思います。
―――最後に、我々ディーラーについてお一言いただけますか
進藤)
小さいころ、家族とディーラーさんに行って、お菓子やジュースを頂いて優しく出迎えていただいた記憶が残っています。年に何回も行くところではありませんが、家族で行っても安心して過ごせる場所であってほしいなと思います。
越智)
車を購入する決断をしたり、整備を任せたりできるのは、ディーラーさんに信頼できる営業担当さんやエンジニアがいらっしゃるからだと思います。車がコモディティ化したり、いろんな手続きがデジタルでできるようになりつつありますが、そういうスタッフがいるディーラーさんにお世話になりたいと思います。
竹内)
今後のコラボレーションでも、PPESさんからいろいろ勉強させて頂ければと思います。本日はありがとうございました。
山田)
2021年に当社の関西本社がある加西市の小学校から、5年生向けの出前授業をやってくれないかとご依頼いただいたのが最初でした。いままで経験がなかったので、何を伝えようかなかなか難しかったのですが、電池事業のプロジェクトXみたいなのはどうだろうかと思って、授業の中身を組み立てていきました。
いまの小学生って、すごく知識の量が豊富なんです。皆さん、地球環境がどうなっているかとか、その中でハイブリッド自動車がエコで、支持されているっていうことは結構知っているんですよ。でも、ある車種の例で、ガソリン車と36万円の金額差があるよというのを伝えた上で、じゃあどっちを買いますかと聞くと「安いから、ガソリン車」と。
竹内)
リアルなお客様の声ですね(苦笑)
山田)
そうなんです。環境に優しい車には乗りたいよね。だけど、車には性能とか便利さとか値段もあって、欲しいと思わないと買わない。そういうお客さんの声に応えるのが自動車会社で、お客さんが欲しいと思ってもらえる性能、便利さ、値段で作らないといけない。じゃあ、自動車会社にそういう車を作ってもらうために、僕ら電池会社としては、自動車会社が欲しいと思う性能とか、値段の電池を提供していく。これが我々のミッションであって、そんな「いい電池」がのっかった車をお客さんに買っていただいて、環境に優しい車が普及して地球を守ることに繋がるよっていうのが、小学生に伝えたメッセージでした。
でも、そんなに簡単にはいかない。電池の開発や製造って、初めに使うお金がとても大きいし、稼いだお金が会社に戻ってくるまでに時間がかかる事業なんですね。でも、ここは日本の産業の砦の一つと思って、海外の電池メーカーに負けないように取り組んでいるのですが、じゃあ、どのようにビジネスとして成立させましょうか、という話に進んでいきます。
竹内)
すごく興味深いです。でも、こういう話って小学生には難しかったりするのではないですか。
進藤)
そうですね、そこは小学校の先生にもアドバイスを頂戴しまして、「人と社会と自分が繋がってるよ」ということを実感してもらったり、出前授業を通して「こういうこと、ちょっと調べてみたいな」というような、好奇心・探求心とかも、一緒に育めるような内容にしようと。じゃあ、自分が経営者になって考えてみましょうという、ストーリー仕立てにしました。
山田)
明日から世界展開するカレー屋さんの経営者になって、安くておいしいものを提供するにはどうしたらいいですか。というワークを行いました。身近な例になると、小学生からいろいろアイディアが出るんですね。スーパーの特売の時に食材を買うとか、レトルトカレーをちょっと薄めて格安で売るっていう子、はたまた自分のおばあちゃんにタダで作ってもらうとかいう子もいらっしゃいました。これって結局、我々の事業にも繋がっていまして、いかに安い材料を使うとか、少ない材料でいい電池を作るかということですね。それと、全く同じなんですよね。そういうことを体験してもらい、自分だったらどうしますかということを自分の頭で考えるし、それは別に答えがあるわけでもない。だから仲間みんなで考えて、電池の事業をやっているんですよ、というお話しです。
中身をあえて難しくしたし、リアルなことを伝えたのですが、5年生になると結構ついてきてくれました。綺麗なことを子供たちに伝えるだけじゃなくて、今、僕らが抱えている課題を共有するというのがすごく良かったなと思いました。
越智)
5年生には難しかったかもしれないけれど、もしかすると近い将来、彼らがこういうことに興味を持ってくれて、さっきの36万円の差を自分だったらどのように埋めるんだ、自分だったらもっと安くて高性能な電池をつくれるぞ、っていう子供が出てきてくれたらうれしいですよね。我々の会社に入ってくれたらもっと嬉しいけれど、そうじゃなくても、結局最後にカーボンニュートラルや、いろいろな課題に立ち向かう子供になってもらったら、どこで活躍しようがそれは嬉しいですよね。
竹内)
僕らも課外授業みたいなことをやっていたんですけど、工場やショールームを見学して貰って「ディーラーって、こんな場所だよ、私たちのこと知ってくださいね」でとどまっていたのかもしれません。御社のように、「答えのない課題」を子供さんたちと一緒に学び、気付きを与える場にする、ということにもチャレンジしていけたらと思います。
すだちを数万個つなげたら、電気自動車を動かせるかも
―――今回のカローラまつりでは、どんなコラボレーションを行うのですか。
山田)
竹内さんとも相談し、「レモン電池」の出前授業を行わせて頂きます。レモンを半分に切ってそれぞれに金属板を差して、電子オルゴールをつなぐと音が鳴るという実験ですね。レモン以外にも徳島らしく、鳴門金時も持ってきました。これでも音がなるかチャレンジしてみます。
竹内)
鳴門金時でも電池になるんですか?
山田)
なります、なります。あ、徳島といえば「すだち」ですね。昨年ギネスで、2,923個のレモンを使って2307.8ボルトを発電したという記録があるので、すだちも同じくらいつないで電気自動車を動かしてみたら面白そうですね。
竹内)
夢がありますね!2023年には、徳島の小学校への両社コラボでの出前授業も計画しています。先ほどPPESさんにとってのプロジェクトXが織り込まれた授業内容をご紹介いただきましたけれど、ディーラーにとっての「答えがない課題」って何だろう…。子供たちにも、私たちにとっても有意義な時間になるように練りこんでいきたいと思います。
―――最後に、我々ディーラーについてお一言いただけますか
進藤)
小さいころ、家族とディーラーさんに行って、お菓子やジュースを頂いて優しく出迎えていただいた記憶が残っています。年に何回も行くところではありませんが、家族で行っても安心して過ごせる場所であってほしいなと思います。
越智)
車を購入する決断をしたり、整備を任せたりできるのは、ディーラーさんに信頼できる営業担当さんやエンジニアがいらっしゃるからだと思います。車がコモディティ化したり、いろんな手続きがデジタルでできるようになりつつありますが、そういうスタッフがいるディーラーさんにお世話になりたいと思います。
竹内)
今後のコラボレーションでも、PPESさんからいろいろ勉強させて頂ければと思います。本日はありがとうございました。

インタビューの様子