【美馬市木屋平地区_デマンド型交通事業】
住民の日常の足を
行政・企業・地域が支え合って維持する
木屋平”ラクバス”初運行
トヨタカローラ徳島のSDGsの取組みを掘り下げる企画の第2弾では、2022年4月から運行が始まった美馬市木屋平地区におけるデマンド型交通事業について取り上げます。同地区とふもとの穴吹町間を運行していた路線バスが廃止となるなか、行政・地域の皆様とトヨタカローラ徳島がタッグを組んで、デマンドバスの事業を発足させました。事業立ち上げの裏側と、関係者のプロジェクトにかけた想いをレポートします。
(手前左から)美馬市 近藤課長、美馬交通協会 岩本代表
(後列左から)当社 堀尾主査、美馬市 仲課長、前田課長補佐、美馬市地域おこし協力隊 松原様、当社 竹内取締役
(後列左から)当社 堀尾主査、美馬市 仲課長、前田課長補佐、美馬市地域おこし協力隊 松原様、当社 竹内取締役
―――本日は、このプロジェクトに関与いただいた皆様にお集まりいただきました。それぞれ簡単に自己紹介をお願いします。
美馬市役所 くらし・人権課 近藤課長)
以前は道路とか河川を管理する事業課におりました。これまではハードに関する業務が多かったのですが、4月から異動してきた今の課では、人との関わりに関するところが多くて、その中で地域の公共交通に関する業務に携わっています。このように美馬市はクルマ社会ですし、高齢化が進む中で、ご自身で運転が出来なくなる方も増えてくる。そんな課題感を持って仕事に臨んでいます。
美馬市役所 くらし・人権課 前田課長補佐)
私も4月から異動になってこの事業に携わっております。地域での働き手の人材派遣や廃校を利用した地域振興の取組みも行っております。実は、地元が今回のデマンドバスが走る木屋平でして、この事業に携われることに喜びを感じています。
美馬市役所 企業応援課 仲課長)
企業応援課の仲と申します。異動前はくらし・人権課におりまして、2019年度から公共交通の仕事に携わっておりました。美馬市の公共交通網形成計画づくりに参画しておりまして、そのころから木屋平の路線バス事業について議論されていまして、それに代わる方策はないかということを必死で考えていたのが思い出されます。その後、こちらにいらっしゃる皆さんとこのプロジェクトの立上げを行ってまいりました。
美馬交通協会 岩本代表)
私はもともと生家が葬儀社と生花業を営んでいて、その会社の代表なのですが、2015年にタクシー事業を新規で立ち上げました。美馬市を中心に地域の方の送迎であるとか、観光客向けに事業を行ってきました。近年は、美馬市のタクシー業界全体の衰退を感じていたのですが、そこにコロナが来て大きな打撃を受けました。そんな中で、これからは美馬市に複数あるタクシー業者とまとまって動いた方が何かと良いよね、ということで、2年前に美馬交通協会という団体を立ち上げ、今はその代表も務めています。
地域おこし協力隊 松原様)
もともと県外の一般企業で勤務をしていたのですが、2021年に美馬市の地域おこし協力隊の募集を見て、それに応募しました。いまは木屋平に移住をして、この事業に携わっています。よろしくお願いします。
トヨタカローラ徳島グループ 堀尾主査)
昨年の4月から出向でこの会社に勤めております。もともとは全く別な仕事でしたので、木屋平を訪問したり、制度や他地域での事例を勉強したりして、この事業に携わっております。
トヨタカローラ徳島グループ 竹内取締役)
もともと徳島市の生まれでして2019年からこの会社に勤めております。そのころからこのプロジェクトに参加させてもらっています。私もまったく知識がなかったので、トヨタ自動車に修行に行って、デマンドバスに関する勉強をしてきました。
美馬市役所 くらし・人権課 近藤課長)
以前は道路とか河川を管理する事業課におりました。これまではハードに関する業務が多かったのですが、4月から異動してきた今の課では、人との関わりに関するところが多くて、その中で地域の公共交通に関する業務に携わっています。このように美馬市はクルマ社会ですし、高齢化が進む中で、ご自身で運転が出来なくなる方も増えてくる。そんな課題感を持って仕事に臨んでいます。
美馬市役所 くらし・人権課 前田課長補佐)
私も4月から異動になってこの事業に携わっております。地域での働き手の人材派遣や廃校を利用した地域振興の取組みも行っております。実は、地元が今回のデマンドバスが走る木屋平でして、この事業に携われることに喜びを感じています。
美馬市役所 企業応援課 仲課長)
企業応援課の仲と申します。異動前はくらし・人権課におりまして、2019年度から公共交通の仕事に携わっておりました。美馬市の公共交通網形成計画づくりに参画しておりまして、そのころから木屋平の路線バス事業について議論されていまして、それに代わる方策はないかということを必死で考えていたのが思い出されます。その後、こちらにいらっしゃる皆さんとこのプロジェクトの立上げを行ってまいりました。
美馬交通協会 岩本代表)
私はもともと生家が葬儀社と生花業を営んでいて、その会社の代表なのですが、2015年にタクシー事業を新規で立ち上げました。美馬市を中心に地域の方の送迎であるとか、観光客向けに事業を行ってきました。近年は、美馬市のタクシー業界全体の衰退を感じていたのですが、そこにコロナが来て大きな打撃を受けました。そんな中で、これからは美馬市に複数あるタクシー業者とまとまって動いた方が何かと良いよね、ということで、2年前に美馬交通協会という団体を立ち上げ、今はその代表も務めています。
地域おこし協力隊 松原様)
もともと県外の一般企業で勤務をしていたのですが、2021年に美馬市の地域おこし協力隊の募集を見て、それに応募しました。いまは木屋平に移住をして、この事業に携わっています。よろしくお願いします。
トヨタカローラ徳島グループ 堀尾主査)
昨年の4月から出向でこの会社に勤めております。もともとは全く別な仕事でしたので、木屋平を訪問したり、制度や他地域での事例を勉強したりして、この事業に携わっております。
トヨタカローラ徳島グループ 竹内取締役)
もともと徳島市の生まれでして2019年からこの会社に勤めております。そのころからこのプロジェクトに参加させてもらっています。私もまったく知識がなかったので、トヨタ自動車に修行に行って、デマンドバスに関する勉強をしてきました。
0.3人/便しか乗らないバス路線の廃止がきっかけ
―――皆さんありがとうございました。ではさっそくこのプロジェクトの概要を教えていただけますか。
堀尾)
今回の事業は、詳しくは「自家用有償旅客運送」と呼ばれるものになります。これは、バス・タクシー等が運行されていない過疎地域において、住民の日常生活における移動手段を確保するため、登録を受けた市町村、NPO等が自家用車を用いて有償で運送するという仕組みです。これまでの路線バスに変わり、現在ではトヨタの「ノア」が「木屋平ラクバス」として、地域住民の要望に基づいて、ご自宅までお迎えにいき、木屋平の中心部や穴吹・脇方面町までの送迎を行っています。料金は一律500円。路線バスの頃から大きな値上げをせずにスタート出来ました。
近藤)
2022年の4月に、美馬市の藤田市長やトヨタカローラ徳島の竹内会長にも木屋平にお越し頂き、ラクバスの出発式が催されました。早速その日から地域の方に利用いただいたのですが、この新しい地域交通が発足することに、皆さんとても笑顔だったのが印象的でした。運行初日から、路線バスの頃よりも大きく上回る人数の方に利用いただいています。
―――皆さんありがとうございました。ではさっそくこのプロジェクトの概要を教えていただけますか。
堀尾)
今回の事業は、詳しくは「自家用有償旅客運送」と呼ばれるものになります。これは、バス・タクシー等が運行されていない過疎地域において、住民の日常生活における移動手段を確保するため、登録を受けた市町村、NPO等が自家用車を用いて有償で運送するという仕組みです。これまでの路線バスに変わり、現在ではトヨタの「ノア」が「木屋平ラクバス」として、地域住民の要望に基づいて、ご自宅までお迎えにいき、木屋平の中心部や穴吹・脇方面町までの送迎を行っています。料金は一律500円。路線バスの頃から大きな値上げをせずにスタート出来ました。
近藤)
2022年の4月に、美馬市の藤田市長やトヨタカローラ徳島の竹内会長にも木屋平にお越し頂き、ラクバスの出発式が催されました。早速その日から地域の方に利用いただいたのですが、この新しい地域交通が発足することに、皆さんとても笑顔だったのが印象的でした。運行初日から、路線バスの頃よりも大きく上回る人数の方に利用いただいています。
木屋平ラクバス出発式の様子(2022年4月)
―――木屋平とはどんな地域なのですか。
前田)
先ほど申し上げたように、私は地元が木屋平なのですが、人口は約500人。その中で6割が65歳以上。小中学校がありますが、全校児童は数名程度です。私が小さいころに比べて、おじいちゃん・おばあちゃんが増え、人口減と高齢化が急速に進んできている地域です。
―――このプロジェクトに着手されたのはいつごろだったのでしょうか。
仲)
一番はじめは2018年の頃だったと思います。確か、そのときトヨタカローラ徳島さんからご提案をいただいて…。
竹内)
はい。当時、当社とトヨタ自動車が、美馬市さんに対しデマンドバス運行の提案をいたしました。実は、当社の竹内代表の父、これはトヨタカローラ徳島の創業者でもあるのですが、美馬市古宮の生まれでした。当社のルーツともいえる美馬市に何か恩返しが出来ないか、ということで、他地域での運行ノウハウがあるトヨタ自動車と一緒になって提案をつくり、美馬市さんにお持ちしました。
近藤)
その時は、既存の路線バスと競合してしまうという事情もあり、即座のアクションにはつながらなかったのですが、19年頃からその路線バス事業に関して、役所内で論議されるようになってきました。当時の路線バスの利用は、一便あたりの平均乗車数が1名を切るような状況。2020年のタイミングでは0.3人/便。空気を乗せて走るようなケースも少なくなく、事業採算性がとれませんので、残念ながらこれは廃止せざるを得ないという方向でした。実際、路線バスは利便性が良くなく、木屋平の方が穴吹に行くときは自家用車か、高齢者は家族の方が送迎したりしていたのだと思います。
―――そのころ、地域交通を担当されていたのが仲さんですよね。
仲)
はい、次の代替手段をどうしようかと思案していました。それで、ちょうどその時に、トヨタカローラ徳島さんが徳島市の応神町でバス運行を支援されているという新聞記事を見まして。そういえば、2年前にもカローラさんが市役所に来てくれていたことを思い出し、改めてご縁が持てないかと考えました。それで、本店で店長をしている長江君に(長江君とは中学校の同級生なのですが)、本当に気楽に、あの提案ってまだ生きてる?と連絡をしました。それが2020年の秋のことですね。
竹内)
長江店長から、こんな話が来ているんですけど…と聞いて、「もちろんまだ生きてますよ!」と仲さんにすぐ電話しまして、そこからプロジェクトが発足しました。そのころ私は木屋平という地域を知らなくて、実際に提案書を作るにあたり現場に行ってみないとダメだなと思い、はじめて自分で路線バスが走っていた道のりを運転してみました。その時は、交通環境のハードさに圧倒されました。まず穴吹から木屋平までの道のりが、細くてとても長い。
自動車同士のすれ違いも大変ですし、この道を1時間かけて送迎するご家族の方はさぞ大変だっただろうなぁと思いました。下見に大きな車で来た事を反省しました(苦笑)。
また、木屋平地区の中も、住宅が山の斜面の中腹にあり、バス停までの道のりは高齢者の方のお体にはかなりハードだっただろうとも感じました。そんな風に「現地現物」をして、地域住民のみなさんのニーズを想像しながら、ルートや運行時間を整理していったのが21年の春にかけてです。
前田)
先ほど申し上げたように、私は地元が木屋平なのですが、人口は約500人。その中で6割が65歳以上。小中学校がありますが、全校児童は数名程度です。私が小さいころに比べて、おじいちゃん・おばあちゃんが増え、人口減と高齢化が急速に進んできている地域です。
―――このプロジェクトに着手されたのはいつごろだったのでしょうか。
仲)
一番はじめは2018年の頃だったと思います。確か、そのときトヨタカローラ徳島さんからご提案をいただいて…。
竹内)
はい。当時、当社とトヨタ自動車が、美馬市さんに対しデマンドバス運行の提案をいたしました。実は、当社の竹内代表の父、これはトヨタカローラ徳島の創業者でもあるのですが、美馬市古宮の生まれでした。当社のルーツともいえる美馬市に何か恩返しが出来ないか、ということで、他地域での運行ノウハウがあるトヨタ自動車と一緒になって提案をつくり、美馬市さんにお持ちしました。
近藤)
その時は、既存の路線バスと競合してしまうという事情もあり、即座のアクションにはつながらなかったのですが、19年頃からその路線バス事業に関して、役所内で論議されるようになってきました。当時の路線バスの利用は、一便あたりの平均乗車数が1名を切るような状況。2020年のタイミングでは0.3人/便。空気を乗せて走るようなケースも少なくなく、事業採算性がとれませんので、残念ながらこれは廃止せざるを得ないという方向でした。実際、路線バスは利便性が良くなく、木屋平の方が穴吹に行くときは自家用車か、高齢者は家族の方が送迎したりしていたのだと思います。
―――そのころ、地域交通を担当されていたのが仲さんですよね。
仲)
はい、次の代替手段をどうしようかと思案していました。それで、ちょうどその時に、トヨタカローラ徳島さんが徳島市の応神町でバス運行を支援されているという新聞記事を見まして。そういえば、2年前にもカローラさんが市役所に来てくれていたことを思い出し、改めてご縁が持てないかと考えました。それで、本店で店長をしている長江君に(長江君とは中学校の同級生なのですが)、本当に気楽に、あの提案ってまだ生きてる?と連絡をしました。それが2020年の秋のことですね。
竹内)
長江店長から、こんな話が来ているんですけど…と聞いて、「もちろんまだ生きてますよ!」と仲さんにすぐ電話しまして、そこからプロジェクトが発足しました。そのころ私は木屋平という地域を知らなくて、実際に提案書を作るにあたり現場に行ってみないとダメだなと思い、はじめて自分で路線バスが走っていた道のりを運転してみました。その時は、交通環境のハードさに圧倒されました。まず穴吹から木屋平までの道のりが、細くてとても長い。
自動車同士のすれ違いも大変ですし、この道を1時間かけて送迎するご家族の方はさぞ大変だっただろうなぁと思いました。下見に大きな車で来た事を反省しました(苦笑)。
また、木屋平地区の中も、住宅が山の斜面の中腹にあり、バス停までの道のりは高齢者の方のお体にはかなりハードだっただろうとも感じました。そんな風に「現地現物」をして、地域住民のみなさんのニーズを想像しながら、ルートや運行時間を整理していったのが21年の春にかけてです。
木屋平地区の住居の様子。山の中腹の細い道の先に住居がある
バスのドライバー確保が最大のハードル
―――立上げに向けて、どのようなハードルがあったのですか。
堀尾)
一番大きかったのが、デマンドバスを運行いただくためのドライバーの確保です。他の地域の事例ですと、定年を迎えた方など、地域内でドライバーの担い手が見つかると聞いていたので、それをあてにしていたのですが、なかなか適当な方が見つからず苦慮しました。仲さんからも、地域のいろんな方にお声がけいただきましたよね。
仲)
そうですね、方々に尋ねて回りましたね。候補となる方が居ないことはないのですが、定年を超えても、農業とか仕事を持たれて、地域のために協力したいという気持ちはあるけれど、なかなか…と断られるケースが多かったです。で、少し路線を変えて2つのアクションをとりました。ひとつが美馬市交通協会・岩本さんへの協力要請、もう一つが地域おこし協力隊の募集でした。
―――岩本さんにはどんなお話しがあったのですか
岩本)
路線バスが廃止になってデマンドバスに変わるというのは、少し前から聞いていたのですが、やっぱりその性格上、地域の方にドライバーをやってもらうというのが一番とは思っていました。でも、仲さんからお困りの事情を聞いて、私にも何かできないかと思うようになりました。美馬市交通協会を立ち上げたときも、タクシー業界を元気にして、もっと町を活性化したいという思いでしたが、それに重なる思いがありました。タクシー会社としてドライバーを出すとコスト的に見合わなく現実的でないため、交通協会のほうで動き、美馬市内で広く人材を探しましたら、ドライバー担ってくださる方が何人か見つかり、今回の事業に参画させてもらっています。
―――立上げに向けて、どのようなハードルがあったのですか。
堀尾)
一番大きかったのが、デマンドバスを運行いただくためのドライバーの確保です。他の地域の事例ですと、定年を迎えた方など、地域内でドライバーの担い手が見つかると聞いていたので、それをあてにしていたのですが、なかなか適当な方が見つからず苦慮しました。仲さんからも、地域のいろんな方にお声がけいただきましたよね。
仲)
そうですね、方々に尋ねて回りましたね。候補となる方が居ないことはないのですが、定年を超えても、農業とか仕事を持たれて、地域のために協力したいという気持ちはあるけれど、なかなか…と断られるケースが多かったです。で、少し路線を変えて2つのアクションをとりました。ひとつが美馬市交通協会・岩本さんへの協力要請、もう一つが地域おこし協力隊の募集でした。
―――岩本さんにはどんなお話しがあったのですか
岩本)
路線バスが廃止になってデマンドバスに変わるというのは、少し前から聞いていたのですが、やっぱりその性格上、地域の方にドライバーをやってもらうというのが一番とは思っていました。でも、仲さんからお困りの事情を聞いて、私にも何かできないかと思うようになりました。美馬市交通協会を立ち上げたときも、タクシー業界を元気にして、もっと町を活性化したいという思いでしたが、それに重なる思いがありました。タクシー会社としてドライバーを出すとコスト的に見合わなく現実的でないため、交通協会のほうで動き、美馬市内で広く人材を探しましたら、ドライバー担ってくださる方が何人か見つかり、今回の事業に参画させてもらっています。
美馬市交通協会 岩本代表と地域おこし協力隊 松原様
仲)
それと同時並行で、運行支援業務をやって頂く人を外から呼んでこないといけないということで、地域おこし協力隊の制度を利用しました。2021年の夏に1回目の募集をしたのですが、こちらは空振り。2回目の募集で美馬に来てくれたのが松原さんでした。
―――松原さんは、もともと美馬市にゆかりがあったのですか?
松原)
もともと美馬市には、剣山や穴吹川で遊ぶためにほぼ毎月来ていたんです。訪れるたびに、自然が豊かなこの町のことが大好きになっていました。ある日、イベントとか観光情報をチェックとしようとして、市役所のホームページを見たところ「地域おこし協力隊として、自家用有償運送しませんか」とありまして、調べてみたところ、どうやら移住をしてデマンドバスの運行支援をやる、ということでして。もともと運転が得意だったこともあって、飛びつきました。
移住して住んでみると、改めて自然豊かな静かなこの木屋平にとても愛着が湧いています。
周りは高齢の方が多いですが、人生の大先輩の皆さんに教わることがすごく多くて、この間は一緒に、梅をちぎって梅酒を漬けたりして、住民の皆さんと楽しく交流させて頂いております。
―――岩本さんのところの方と、松原さんが参画されて、なんとか行けそうだぞとなったのですね。その後はどのような活動をされたのですか。
松原)
地域の方に世帯を1軒1軒回りながら、今度こういう制度がはじまるよ、というのを説明して回りました。合計200軒くらいでしたね。住民の皆さんは、路線バスが無くなることに不安をお持ちの方も多かったので、ゆっくり丁寧に説明して、おじいちゃんおばあちゃんの毎日の移動がすごく楽になるよ、ということを理解いただきました。いままでバス停まで30分とかかけてお越しになる方も多かったので、喜んで事前の利用登録をしていただくことも出来ました。
それと同時並行で、運行支援業務をやって頂く人を外から呼んでこないといけないということで、地域おこし協力隊の制度を利用しました。2021年の夏に1回目の募集をしたのですが、こちらは空振り。2回目の募集で美馬に来てくれたのが松原さんでした。
―――松原さんは、もともと美馬市にゆかりがあったのですか?
松原)
もともと美馬市には、剣山や穴吹川で遊ぶためにほぼ毎月来ていたんです。訪れるたびに、自然が豊かなこの町のことが大好きになっていました。ある日、イベントとか観光情報をチェックとしようとして、市役所のホームページを見たところ「地域おこし協力隊として、自家用有償運送しませんか」とありまして、調べてみたところ、どうやら移住をしてデマンドバスの運行支援をやる、ということでして。もともと運転が得意だったこともあって、飛びつきました。
移住して住んでみると、改めて自然豊かな静かなこの木屋平にとても愛着が湧いています。
周りは高齢の方が多いですが、人生の大先輩の皆さんに教わることがすごく多くて、この間は一緒に、梅をちぎって梅酒を漬けたりして、住民の皆さんと楽しく交流させて頂いております。
―――岩本さんのところの方と、松原さんが参画されて、なんとか行けそうだぞとなったのですね。その後はどのような活動をされたのですか。
松原)
地域の方に世帯を1軒1軒回りながら、今度こういう制度がはじまるよ、というのを説明して回りました。合計200軒くらいでしたね。住民の皆さんは、路線バスが無くなることに不安をお持ちの方も多かったので、ゆっくり丁寧に説明して、おじいちゃんおばあちゃんの毎日の移動がすごく楽になるよ、ということを理解いただきました。いままでバス停まで30分とかかけてお越しになる方も多かったので、喜んで事前の利用登録をしていただくことも出来ました。
木屋平ラクバスを紹介するチラシ
仲)
200軒回る中で、地域の方の声を聴き、最終的にルートや運行時間帯を決めていきました。回るのは大変だったけれど、当初案とは地域住民の方が求められるものが微妙に異なったりする部分もあり、足を使って声を集めてよかったなぁ。松原さんには本当に感謝だなぁと感じています。
「運転手さん、神様・仏様みたいやわ」
―――そうして運行スタートを迎えるわけですね。利用者やドライバーからはどんな声が出ていますか。
松原)
住民の方は、やはりドアtoドアで移動できる点を評価いただいています。住民の方は、別にバス停からバス停に移動したいわけじゃないんですよね。自分の家の玄関から、スーパーとか、病院とか、役所に行きたいわけで。出かけるきっかけになったという方もいらっしゃって、地域の方に口コミを拡げてもらっています。人口500人のうち利用会員数も200人以上になったので、ほぼ”シェア半分”ですね(笑)
200軒回る中で、地域の方の声を聴き、最終的にルートや運行時間帯を決めていきました。回るのは大変だったけれど、当初案とは地域住民の方が求められるものが微妙に異なったりする部分もあり、足を使って声を集めてよかったなぁ。松原さんには本当に感謝だなぁと感じています。
「運転手さん、神様・仏様みたいやわ」
―――そうして運行スタートを迎えるわけですね。利用者やドライバーからはどんな声が出ていますか。
松原)
住民の方は、やはりドアtoドアで移動できる点を評価いただいています。住民の方は、別にバス停からバス停に移動したいわけじゃないんですよね。自分の家の玄関から、スーパーとか、病院とか、役所に行きたいわけで。出かけるきっかけになったという方もいらっしゃって、地域の方に口コミを拡げてもらっています。人口500人のうち利用会員数も200人以上になったので、ほぼ”シェア半分”ですね(笑)
木屋平ラクバスを利用される地域住民の方
岩本)
ドライバーからは、地域貢献に参画で来ていることへの前向きな声も出ています。利用者の方から「運転手さん、神様・仏様みたいやわ」って言われたことがあったみたいで、そのドライバーさん、「選挙に出ようかな」って言っていました(笑)。
ただ、ふもとでの運行よりもかなりハードとの声もあがっています。午前中に木屋平から穴吹に降りる便では、ドライバーが前日のうちに木屋平まで上がって一泊してから、翌朝車を出してあの細くて長い道を下る…、というかなり負荷のかかる仕事をお願いしています。縁あって参画してくれているドライバーに、やりがいを持ってこの仕事を続けてもらうために、もっと働きやすい環境を準備するなど、やれることをやっていきたいと思います。
―――今後はこの事業をどのようにしていきたいとお考えですか
岩本)
車の自動運転の技術が発達する中ではありますが、まだまだ運転や、予約の取次などには、働く人が必要です。そんな方の負荷を下げて、働いてもらいやすくするために、いろんな場所でデジタル技術を活用することが必要だと思っています。予約管理や運行管理等といった仕組みも合わせて、こういった仕組みを拡げてもらえると、今後も安定して事業が継続できていくと思っています。
近藤)
おかげさまで利用者が増えてきたので、利用者アンケートをとって住民の方のニーズをもっと把握していきたいと思っております。課題として、現状では利用できない剣山や穴吹川に訪れる観光客や、介助が必要な方への対応といった部分がありますが、関係部署と連携して新たな取組みを検討していきたいと考えています。
ドライバーからは、地域貢献に参画で来ていることへの前向きな声も出ています。利用者の方から「運転手さん、神様・仏様みたいやわ」って言われたことがあったみたいで、そのドライバーさん、「選挙に出ようかな」って言っていました(笑)。
ただ、ふもとでの運行よりもかなりハードとの声もあがっています。午前中に木屋平から穴吹に降りる便では、ドライバーが前日のうちに木屋平まで上がって一泊してから、翌朝車を出してあの細くて長い道を下る…、というかなり負荷のかかる仕事をお願いしています。縁あって参画してくれているドライバーに、やりがいを持ってこの仕事を続けてもらうために、もっと働きやすい環境を準備するなど、やれることをやっていきたいと思います。
―――今後はこの事業をどのようにしていきたいとお考えですか
岩本)
車の自動運転の技術が発達する中ではありますが、まだまだ運転や、予約の取次などには、働く人が必要です。そんな方の負荷を下げて、働いてもらいやすくするために、いろんな場所でデジタル技術を活用することが必要だと思っています。予約管理や運行管理等といった仕組みも合わせて、こういった仕組みを拡げてもらえると、今後も安定して事業が継続できていくと思っています。
近藤)
おかげさまで利用者が増えてきたので、利用者アンケートをとって住民の方のニーズをもっと把握していきたいと思っております。課題として、現状では利用できない剣山や穴吹川に訪れる観光客や、介助が必要な方への対応といった部分がありますが、関係部署と連携して新たな取組みを検討していきたいと考えています。
インタビューの様子
―――最後に、我々ディーラーやトヨタについてお一言いただけますか
岩本)
いま電気自動車に関する話題が良く挙がりますが、木屋平のような地域では、将来ガソリンスタンドが無くなるかもしれません。そういう場合には、電気自動車が活躍するだろうと思っています。でも個人的には、大きくてアウトドアにガシガシ使えるピックアップトラックが好きなんですよね。トヨタさんには、全方位的な開発をぜひ頑張ってほしいと思っています。
松原)
ディーラーは、愛車の事をなんでも相談できる「クルマのお医者様」だと思っています。自動車が絶対に必要な地域になくてはならない存在として、すごく心強いです。
竹内)
私自身、みなさんとラクバスの立上げを一緒にやらせて頂き、これまでの自動車販売店とは異なるこういった事業をやっていく意義を考える機会になりました。まだ事業が立ち上がったばかりなので、今後も一緒になってより良いものにしていけたらと思っています。今日は、ありがとうございました。
岩本)
いま電気自動車に関する話題が良く挙がりますが、木屋平のような地域では、将来ガソリンスタンドが無くなるかもしれません。そういう場合には、電気自動車が活躍するだろうと思っています。でも個人的には、大きくてアウトドアにガシガシ使えるピックアップトラックが好きなんですよね。トヨタさんには、全方位的な開発をぜひ頑張ってほしいと思っています。
松原)
ディーラーは、愛車の事をなんでも相談できる「クルマのお医者様」だと思っています。自動車が絶対に必要な地域になくてはならない存在として、すごく心強いです。
竹内)
私自身、みなさんとラクバスの立上げを一緒にやらせて頂き、これまでの自動車販売店とは異なるこういった事業をやっていく意義を考える機会になりました。まだ事業が立ち上がったばかりなので、今後も一緒になってより良いものにしていけたらと思っています。今日は、ありがとうございました。